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■ なお様小説 ■

2009.04.20 01:18 candy

「時の足音」



『ごめん』

さっきから、こればっかり。
電話で話しをするのも久しぶりなのに。

『どうにもならなくて・・・さ・・・』

ボクは何も責めていないよ?

『はぁ~、なんでかなぁ、なんでこんなに予定が合わないからなぁ~』
「仕方ないよ。お互いプロとして軌道に乗ってきたんだし、忙しいのも有難いくらい思わなくちゃ」
『そうなんだけどさぁ~』
「でしょ?」
『頭では分かっているんだけど』
「なら、いいじゃん」
『・・・・・・ほんとか?』
「何が?」
『ほんとう~にそう思っているか?』
「思っているよ」
『ん~~~それはそれでちょっと寂しい』
「またそういうこと言う」

寂しい 会いたい  と、少しでも言ってしまえば、キミはなんとしてでも飛行機に乗るだろう?
それが分かるから言わないんだよ。
ん? ううん。 違う。 なんか違うなぁ。
さっきのは、本心。 本当に寂しいと思わない。
キミもドイツで頑張っている。 そう思うだけで、ボクは頑張れるから。 
それは
“プロになるなら、世界に出ろ。お前なら通用するだろう?なぜ日本なんだ?”
“そう言ってくれるのは嬉しいけど、決めたんだ”
日本に残ることを決めたあのときから。

一人になってみよう。 キミを頼ることができないまで自分を追い込むために。
それがプロとしてやっていくために、ボクが自分に課した負荷。 ボクがボクを掴むために。

なーんてね、前は違ったんだよ。
高校時代は会いたかった。 会って話を聞いてほしかった。 ボクの誕生日、若林くんの誕生日・・・なんとして
でも会いたくて、無理をして、キミに怒られたこともあったよね。
逆にキミが無理して会いに来て、ボクの部屋で熱出して寝てた、なんてこともあったよね。
ドイツと日本、なんて遠いんだろうって。
想う人に会えない辛さ。 傍にいない、いてあげられない切なさと歯がゆさ。
愛しさだけが募るとき、あのままフランスにいたら・・・・と思った。
リハビリのときも。
突きあがってくる不安と焦りを表面に出さないようにするボクを叱ってくれたのも、キミだった。
抱きしめて、包んでくれるキミに、ボクは、寄りかかりたくなる。
それじゃ、いやなんだ。
だから、一人になろうと思うんだ。

だからって、もうキミを必要としていないとか、追い求めていないとかじゃないんだよ。

苦しいときに思い出すのは、いつもキミ。
キミなら今のボクをなんと言うだろう。 なんて言ってくれるだろう。
そう思ってする電話に、やっぱり予想と同じ言葉が返ってくる。
そして、ゆるむ唇。
キミの声に さぁ、頑張ろう ってする深呼吸。 心地いいんだ。

“岬がたくましくなって、オレ、寂しい”
冗談っぽくキミは言うけどね、いつまでもキミを頼るボクではいたくないんだよ。
ボクはボク。 キミはキミ。 

確信があるんだ。
ボクの心の中にキミがいること。 キミの中にボクがいること。
流れていく人間関係の中で、流れに任せていたボクを堰きとめてくれたのは、キミ。 
移ろいゆく時間の中で、これだけは変わらないという自信。 これは、二人で築き上げたもの。

ボクは、一人と孤独の違いを理解できている。

将来、二人で一緒にいること、想像できるよ。 そうしたいって思っている。
なんて言うとね、キミはすぐ
“将来なんて言わないで今すぐ、一緒にいよう” とか言って家を用意しそうだから、言わない。

だから・・・・・ね?

2人で刻む時の中で、2本の針が何度もすれ違って、重なって。
キミが刻む音は、きちんとボクに届いている。
聞こえるから・・・ボクは、強くいられるんだ。

若林くんにとってのボクも、そうでありたい。




『岬?』
「ん?」
『今度会えるのは、いつかなぁ?』
「さぁ?時間が空いたら、ボクがそっちに行くよ。必ず」
『サンキュ。楽しみにしている・・・・5日、5日さ・・・』
「なに?」
『合間ぬって、必ず電話する。電話するから、待っていてくれ』
「うん。分かった」


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